アダム・シルバーの仲裁でニックス(NYK)オーナーとチャールズ・オークリーがひとまず手打ち

先週半ばからゴタゴタが伝えられていたニックス(NYK)のオーナー、ジェームズ・ドーランとチャールズ・オークリー(元NYKほか)との「大人の喧嘩」。この仲違いがアダム・シルバーNBAの介入により、ひとまず手打ちとなったようだ。

NBAコミッショナーがチャールズ・オークリーやニックスのオーナーと面会、マイケル・ジョーダンも参加 – NBA Japan

ことの経緯を簡単に振り返ると次のようになるかと思う(正確さには欠けるが、それほど大きく間違ってもいないはず)。

まず、8日のNYK対クリッパーズ(LAC)戦を観にマジソンスクエア・ガーデン(MSG)に来ていたオークリー(チームのOBにもかかわらず自腹でチケットを買って入場)が、試合開始後まもなく、MSGの警備員と口論・もみ合いとなり、オークリーは複数の警備員に通路の床にねじ伏せられた挙句、MSGからつまみ出された(その後暴行容疑などで警察に突き出された)

どうしてこのいさかいが生じたか、その真相はいまだによくわからない—ドーラン=NYK側は「オークリーが入場前から酔っていた」云々と主張したが、オークリーのほうはそれを否定。以前からオークリーとの仲の悪さが噂されていたドーランが、近くの席にオークリーがいるのを見て、警備員(従業員)を使って追い出しを図ったとの可能性もあり、反対にオークリーのほうが先にドーランに毒づいたという可能性も考えられるが、いずれも裏付けとなる証言などはまだ目にしていない(かつてアル中だったドーランに対して「お前がよくそんなこといえるな」というふうな声が外野からあがってもいたようだ)。

オークリーは現役時代ハードワーカー(身体を張って、一生懸命プレイする選手)としてNYKファンの間で人気が高かったため、オークリーに対するこの仕打ちをみたファンや、レブロン・ジェームズをはじめとする一部の現役スター選手などから、ドーランに対して反発の声が上がった。NYKの応援団長であるスパイク・リー(映画監督)は次の試合、オークリーの背番号「34」がついたジャージ着用でコートサイドに陣取っていた(オークリー支持、ドーランへの抗議の意思表示)。

(NYKファンとして知られる俳優のマイケル・ラパポートもオークリー擁護/ドーラン批判の論陣を張っている)

ところが、その後ドーランはラジオ番組の電話インタビューで「オークリーのMSGへの出入り禁止」を宣言。さらに、長年関係が冷え切っていたラトレル・スプリーウェルをMSGに招待して「和解」をアピールするなど、オークリーに対して当てつけるような真似さえしていた。

ドーランは以前からNYKファンの間で評判がよろしくない。直接的にはドーランがオーナーになってからNYKがすっかり弱くなってしまったからだろうが、そのほか「親の金で球団を買い、そのままオーナーとなってチームづくりに口出しした(親父はケーブルビジョンという大手ケーブルテレビ会社の創業者)」「知り合いのコネをつかって、イーグルスのツアーに前座として参加(自分のプレイする素人ロックバンドを参加させた)」といったことがよく知られている。さらに、最近ではやはり自分の経営するラジオシティ・ミュージックホールの踊り子さんたちに「ドナルド・トランプの大統領就任祝賀イベントに参加しないと、クビにするぞ」などとおふれを出した(のちに撤回)ことが問題視され、さらに評判を下げてもいた。

ちなみに、イーグルスの元マネージャーのアーヴィン・エイゾフ(Irving Azoff)というのは、フィル・ジャクソンとドーランを引き合わせた人物(その仲介でジャクソンがNYKの球団社長になった)。

オークリーのことに話をもどす。

アダム・シルバーは、上記のようなドーランの振る舞いを見るに見かねたのか、あるいは「これ以上ゴタゴタが続くとNBA全体の評判にかかわる」と判断したのか(もうすぐオールスター・ウィークエンドだし)、いずれにしても両者の仲介に乗り出した。ただし一人では手に余ると考えたのだろう、シルバーはオークリーのブルズ時代の元チームメイトであり、現在はホーネッツ(CHA)のオーナーでもあるマイケル・ジョーダンの力を借りることにした・・・。

といった感じである。

Commissioner Brokers Peace Deal Between James L. Dolan and Charles Oakley – NYTimes

さて。「そもそも、どうしてオークリーとドーランは関係がうまくいっていなかったのか」という部分が上記のような説明だけではわからない。だが、これについて手がかりとなりそうな情報を含むある記事のことを思い出した。昨年11月初めに出ていた下記のNYTimes記事である。

In Exile From the Knicks, but Still at Home in Cleveland – NYTimes

この記事を読むと、オークリーは「まるで無法松のような人」という印象が伝わってくる。無法松といっても三船敏郎の主演した映画ではなく、村田英雄の歌った演歌のほう—例の「口も早いが手も早い」男である。

たとえば

「オークリーはかつてチャールズ・バークレーと喧嘩になったことがある。しかもプレシーズンの試合でだ」( He once brawled with Charles Barkley — in a preseason game.)

あるいは

かつてアシスタントコーチをしていたボブキャッツ(元ホーネッツ)の選手について「あいつらは新しいことを覚えようとしない。誰か間違ったことをするやつがいても、見て見ぬ振りをするしかなかいが、自分にはそういうのができない」(“Guys don’t want to learn. If someone’s doing something wrong, you have to look the other way. I can’t do that.”)

そんなオークリーのことを「たぶん正直すぎるのかもしれない」(“Maybe too honest”)と擁護する子供時代の友人もいる。「しかし、あいつはずっと一切手抜きなしで働いて来たし、一生懸命働くことが正しいといまでも信じている」(“But he’s always been a relentless worker, and he believes in hard work to this day.”)

さて。ここからが問題の核心に触れるところ。

他者に対する厳しい意見を胸にしまっておけないオークリーは、そのせいでNYK(球団)と疎遠になっていた(略)NYKのフロントやコーチ、時々のスター選手を批判したことも何度かあった。2010年には(FAでキャブズからの移籍を考えていた)レブロン・ジェームズに「NYKはやめたほうがいい」と助言していた(略)ドーランのことをいろいろと悪く言ってもいた。

NYK時代のチームメイトのなかには、オークリーに対して、NYKにはもっと丁寧に対応したほうがいいという人間もいたが、結局あまりうまくいかなかった。

「あの親分(=ドーランのこと)はオレのことが好きじゃないんだ(略)オレのほうはドーランとサシで飯を食ってもいいと思っている。飯をこしらえてやってもいいとも思っている」
(間)
「ただし、何か(料理のなかに)入れるかもしれないけど」
(間)
「つまり、オレのほうから(第三者を通じて)ドーランに話し合いを申し入れたことがこれまでに少なくとも15回はあった。けれど、ドーランは会おうとしないんだ。ドーランと会って直接話ができたらとオレは思っている。ふたりだけで話をできたらいいと思う。ほかの人間が入ってこないようにドアに鍵をしてだ」
(間)
「ドアの外側に警官を待機させておく手もある」

His brand of — what is the word? — authenticity is not valued by everyone. Oakley has been estranged from the Knicks organization for years, a rift that stems, at least in part, from Oakley’s inability to keep some of his more caustic opinions to himself. He has, at different times, criticized the team’s front office, coaches and resident stars. In 2010, he advised James to avoid signing with the Knicks in free agency, which hardly endeared him to the organization. He has also called James L. Dolan, the owner, a bunch of bad names.

Former teammates have encouraged Oakley to be more polite in his dealings with the team, but without much success.

“The boss don’t like me,” Oakley said last week. “I wouldn’t mind having a sit-down dinner with Dolan. I wouldn’t mind cooking him dinner.”

Pause.

“Might put something in it, though!”

Pause.

“I mean, I had at least 15 people try to set up a meeting. He won’t meet. I want to sit down to talk to him. I want me and him in a room. And lock the door. Lock that door!”

Another pause.

“I mean, he can have the police outside the door.”

いかにも頑固で世渡りが下手そうなオークリーと、一癖あるドーランとの仲違いが、アダム・シルバーの「大岡裁き」でうまく決着するといいのだが(カーメロ・アンソニーの追い出しにかかっているフィル・ジャクソンの目に余る振る舞いもどうにかなったらいいと思うが)。

(1996年プレシーズンのゲーム。オークリーがバークレーに仕掛けている。20年も前のこととはいえ随分と荒っぽいことをしていたものだ)

コメントを残す