「LGBTへのサービス拒否を認める大統領令」草案の存在が明らかに

このところ政治の絡む話ばかり書いていて誠に恐縮だが、今日もまた一つお付き合いいただければと思う(社会的な意識の高いNBAのことを思うと、気にならざるを得ない話ばかり、といった状況なので・・・)。

一昨年(2015年)春にインディアナポリスで開催されたNCAAトーナメントのファイナル4が、同州の州法のせいで、危うく流れかけていた・・・そんな話を以前に少し書いたことがあった。同州の州法というのは、「宗教(信仰)上の理由からLGBTへのサービス提供拒否を認める」とする内容のもので、この法律に署名していた州知事が現在の副大統領マイク・ペンス・・・といったこともあの話(シャーロットでのオールスター戦開催中止の決定に関するもの)のなかで触れていた。

LGBT差別禁止の制限を認める州法制定に端を発したこの騒動で、NBA側はほぼ一貫して反対の姿勢を維持してきていたようだが、この話題でひとつ思い出したのは、昨年春にインディアナポリスで開かれていたNCAAトーナメントのファイナル4の前にも似たような騒ぎが起こっていた、ということ。あの時には、大会を開催するNCAAの本部がインディアナポリスにある(=地元政界に対してそれだけ強い影響力がある?)せいなどもあり、結局州法の一部が手直しを受けて、無事開催されたのだったか・・・。
NBA、2017年オールスター戦のシャーロット開催中止を決定

さて、この差別容認法と似たようなもの、あるいはその全米版に相当するような大統領令の草案が現在米政権内で準備されているらしい。

Leaked Draft of Trump’s Religious Freedom Order Reveals Sweeping Plans to Legalize Discrimination – The Nation
White House considering action on religious freedom that critics warn could lead to discrimination – Washington Post
Executive Order Draft Would Expand Religious Protections, Could Allow Denial of Services to Gays – WSJ
Report: Administration drafts ‘religious freedom’ executive action – The Hill

WSJには「これが実際に署名・公布されるかどうかは今のところ微妙(表に出ない可能性も)」などとあるが、上記のようにわりとしっかりした媒体も報じているので、草案の存在自体はどうやら本当のことーーーいわゆるフェイクニュースではないと判断できよう。

トランプの政権内には、「LGBTなどもってのほか」というガチガチの保守派(選挙の過程でトランプに取り込まれた共和党の連中)と、それとは別に「ゲイなんか全然OK」というオルタナ右翼(Alt-Right)という二つの勢力があるらしい。例の移民・難民の入国制限令をいきなり出して大混乱を招いていたのは後者に分類される取り巻きのようだが、いずれにしてもそういう水と油のような輩がどうやって呉越同舟しているのか、というところはよく分からない。また、単に「なりたいだけ」で大統領になろうとした、あるいは「なれればいくらか得できるかもしれない」と考えて選挙に出たと、そのようにしか思えないトランプ本人には、この差別容認の件についてこれという自分の考えがあるようには見えない・・・。

まあ、トランプがどうだろうと実はどうでもいいのだが、問題はこういうもの(大統領令)が表に出てきてしまった時のNBAの立場で、普通に考えたらきっぱり「NO」というしかないのではないか。

「あらゆる差別を認めない」として、ドナルド・スターリングをクリッパーズ(LAC)から追い出したり、シャーロットではASGはやらないとしてきたアダム・シルバー(NBAコミッショナー)は、そういう適切な判断力があり、毅然とした態度が取れる経営者として評価が高い(対照的に、そういうのが下手なNFLのロジャー・グッデルは、「あんな仕事ぶりでも年間4400万ドルものサラリーがもらえるなんて信じられない」などとバラク・オバマから以前揶揄されていた、そのことも思い出す)。また一昨年のテレビ放映権に関する契約更新や昨年暮れの労使契約(CBA)延長など、これまでほぼ満点といっていい仕事ぶり。そんなシルバーが様子見を決め込んだり、あるいは外部の圧力に屈するとも思えないが(屈したら、選手やコーチからの支持は期待できなくなる)。

ただし、シルバーの雇い主である各チームのオーナー連中のなかには、トランプが嫌いで以前から公然とバカにしてきているマーク・キューバン(マブズ=DAL)のようなものもいれば、マジック(ORL)オーナー一族(Amway創業者一家)の一員で(おそらく選挙中の資金提供などの論功行賞で)教育長官候補に指名されたと思われるベッツィー・デヴオス(Betsy DeVos)のような人間もいる。またスパーズ(SAS)のオーナーであるピーター・ホルトのおかみさん(引退した夫に代わって現在球団の会長兼CEOを務める)が、トランプにわりと多額の選挙資金(個人としては多めな25万ドル強)を出していたことなども報じられている。そうしたことも考え合わせると、やり手のシルバーとしても慎重に根回ししながら、対応を決めないといけなくなるかもしれない。

コーチや選手の方はシルバーに比べると対応に頭を傷めることはさほどないのではないか。グレッグ・ポポボッチやスティーブ・カー、スタン・ヴァン・ガンディあたりは例によって反発するだろうし、黒人選手も下記のカイル・ラウリーのそれと同様のコメントをしそうにも思える。

(入国制限令について聞かれ、「bullsit以外の何物でもない」と答えるラウリー)

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