コービ・ブライアント、1億ドルのVCファンド設立を発表

コービ・ブライアントが自分のベンチャーキャピタル(VC)ファンドを設立したというニュースがWSJに出ている。

Kobe Bryant and Jeff Stibel Unveil $100 Million Venture Capital Fund – WSJ

ファンドの名前は「ブライアント・スタイベル(Bryan Stibel)」。これは自分と、ジェフ・スタイベル(Jeff Stibel)というパートナーの名前からとったものらしい(法律事務所みたい)。ファンドで動かす資金はとりあえず1億ドル($100 mil.)とあるので、おそらくコービが現役時代に稼いだ資金を運用するための手段かもしれない(外部から資金を集めたという記述はない)。今後投資していく先はテクノロジー、メディア、データ関連のベンチャーとなっているが、ちょっと目を惹くのはふたりが2013年からすでに15社のベンチャーに投資してきており、投資先のになかにはオンラインメディアの「The Players Tribune」(アスリートが自分の名前で寄稿するのが特徴のサイト)やジューセロ(Juicero、美味で身体に良い野菜ジュースなどを手軽に家庭で飲めるという一種のサービス。ただしかなり高価らしい)も含まれているといった点(株式公開前のアリババにも投資していたとあるから、それだけでもわりとゲインできているのではないか)。

この話で思い出したのは、暫く前にも紹介したコービをめぐるクリス・サッカ(Chris Sacca)とビル・シモンズ(The Ringer)とのポッドキャストでのやりとり。

… サッカは何年か前にコービ・ブライアントが自分の投資ファンドを立ち上げようとした際にも、コービの相談に乗っていたらしい。

サッカは、コービが連絡してきて「ローマ法皇でさえ会いたがる自分に会わない手はないだろう」と(NBAにはあまり関心のないサッカに)言ったとか、のちには昼夜の区別なくコービから電話がかかってきて「あなたはコービとデキてるじゃないの」と奥さんにからかわれたとか、そんな逸話を喋った末に、「あれほど何かにのめり込む(=凝り性の)人間は、コービと、それにウーバー創業者のトラビス・カラニックくらいしか思いつかない」「あの調子でやればベンチャー投資家としても大成功するだろう」などとコメントしていた。

「NBA+シリコンバレー」なトピック3題 – CLE, LAL, DAL

上記のWSJ記事には「コービとスタイベルは共通の友人を介して知り合った」云々とあるので、あるいはサッカが縁結びしていたのかもしれない。

このジェフ・スタイベルという人物については今回はじめて名前を聞いたが、すでにWikipediaに立派なページもあるので、おそらくその筋ではよく知られた起業家・経営者なのだろう(「2006年にはBusinessweekの選ぶ『40歳以下の注目経営者40人』に選ばれていたこともある」とか)。だが、それよりもさらに面白そうなのは、スタイベルが脳科学(brain scienceあるいはcognitive science)の研究者の訓練を積んだというところ。異常なほどの負けず嫌いで知られるコービの頭の中を、きっとのぞいてみたかったのかもしれないなどと勝手な想像も働いてしまう。

なお、10日ほど前には、前々から「いつかVCになりたい」と公言していたイギー(アンドレ・イグダラ、GSW)が、アリアナ・ハフィントン(ハフポ共同創業者)の立ち上げた新しい快眠ベンチャー(スライブ・グローバル=Thrive Global)に出資した、というニュースも出ていた。

成功したプロアスリートが現役引退後のことを考えて事業に投資するとか、あるいは引退後に現役時代の知名度などを活かして事業を始めるといったことはいまに始まったことではないが、その興味と資金の行き先がテクノロジーやデータの関係する分野に向かっているというのがいまの時代らしくて面白い。

(2年ほど前Bloombergのインタビューを受けていたコービ)

リオ五輪、男子バスケ準々決勝 – 米、豪、スペイン、セルビアが勝利

いずれも期待してみた4試合だったが、4つめのセルビア対クロアチア戦を除いていずれも早い段階で勝負がついた試合展開でいささか拍子抜け。

・オーストラリア 90 – リトアニア 64
・スペイン 92 – フランス 67
・米国 105 – アルゼンチン 78
・セルビア 86 – クロアチア 83

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米国はようやく本気になったかという感じで、とくにケヴィン・デュラントは27得点(3ptシュートが9分の7)/6アシスト/7リバウンドと活躍。また17得点/8リバウンドをマークしたポール・ジョージの効率の良さも目をひく。

豪に大差で負けたリトアニア(FIBAランキングで米、スペインに続いて3位)にはとくにがっかり。デリー(マシュー・デラヴェドバ、MIL)やパティ・ミルズが好きなように外側からのシュートを決めていたが、リトアニア側に外側をきちんと守れる選手が不在だったのも原因のひとつか。攻撃面でも、しっかりしたプレイメーカーがおらずいい形で打てたシュートが何本あったか?といった印象。

スペインは、ベテラン勢がお膳立てして、若い者に決めさせるというやり方を採ったのか、リーディングスコアラーがニコラ・ミロティッチ(23得点)で2番めがチーム最年少(22歳)のウィリー・へルナンゴメスの16点。へルナンゴメスについては「ガベッジタイムにスコアを稼いだか?」と思ったがそうではなく、前半わりと僅差の段階から出場して得点に絡んでいた。この選手、今年秋からはNYKでプレイするらしいので、どういう使い方をされるかなどちょっと注目したいところ。

さて。
このスペイン戦に敗れたフランスでは、トニー・パーカーが「自分も34歳になったので、国際試合(=仏代表としてプレイするの)は今回限り。G・ポポビッチにそう約束してあったんで」などと試合後にコメントしたという(パーカーと同い年でパリの体育学校時代からの付き合いであるムッシュー・ディアウも同じように「卒業」するのかもしれない)。

フランスと同様に、アルゼンチンでもマヌ・ジノビリ(39歳)とアンドレス・ノシオーニ(36歳)が「代表戦はこの試合限り」となったそうで、こちらもある程度わかっていたこととはいえ、少しもったいない感じもする。

それから、今回の五輪ではチームUSAの「引率役」をカーメロに譲ったレブロンが「やっぱり行っときゃよかった」となったのか、「チームUSAから引退したわけではない」とコメントしていたという。

レブロンは、次の時(東京五輪)にもまだ36歳くらいだから引率役にはちょうどいい。また順番からいうと、次のチームリーダーはやはりステファン・カリーだろうか。わりと先の話とはいえ、いまから楽しみなことはまちがいない。

「将来の夢はNBAチームのオーナー」、レブロン・ジェームズが初めて明言

レブロン・ジェームズがゲスト出演したポッドキャストのなかで、「自分の(将来の)夢は実際に(NBA)チームを所有すること(”My dream is to actually own a team.”)」と口にしたらしい。

LeBron James: ‘My dream is to actually own a team’ – ESPN

おそらく現役引退後何年かして、たとえば40歳代後半とかそれ以降を想定してのことだろう(選手兼オーナーというのは明らかに利害相反だから、実際にはありえない、と仮定して)。

ESPNは例によって、レブロンとマイケル・ジョーダン(MJ、CHAのオーナー)とのさや当てみたいなことを延々と書いているが、そちらの方向に話を膨らませていてもたいして面白くはない。NBAチームのオーナーになりたい人間はたくさんいる—選手はもちろんのこと、ファン(米大統領も含む)のなかにもなりたい人間はたくさんいるだろう。レブロンの場合は、実際になれる可能性がある(比較的高い)という大きな違いはあるにせよ。

面白いのはおそらくレブロンと仲間たちがどういう手順でゴールに辿りつくか、という過程のほうかもしれない。

勝手に想像した結論から先に記すと、レブロンは先にピストンズ(DET)を手に入れ、その上でキャブズ(CLE)とDETを交換する、といったやり方を採るといいかと思う。

レブロンが「オーナーに(なりたい)」というのは、つまり「キャブズ(CLE)のオーナーに」ということだと思う。本人とほとんど縁もゆかりもない、たとえばペリカンズ(NOL)とかのオーナーになってもあまり面白くはないだろうし、また地元チームのオーナーになったMJの前例や、それからレブロンの「ブランド価値」みたいなことを視野に入れても、やはり「CLEのオーナーに」というのが妥当だろう。

そういう前提に立つと、レブロンはいずれダン・ギルバート(CLEのオーナー)との交渉の席につかなくてはならない。

レブロンのCLE復帰に際して、ふたりがいったん過去の確執を水に流したことは周知の通りだが、それでもふたりの間にはいまだにある種の緊張感があることを指摘する声を時々見聞きする。たとえば、優勝後にクリーブランドであった祝勝パレードの際、レブロンがチームメイトなどにはそれぞれの名前を挙げて感謝の言葉を口にしながら、ギルバートのことは何もいわなかったとか、ギルバートがスピーチのなかでレブロンに感謝の言葉と賛辞を送ったときにも、レブロンは軽く受け流していた、といったことだ。

そういうよくて呉越同舟なふたりの関係あるいは距離感みたいなものを考慮に入れると、ギルバートがレブロンにある程度有利な条件で、友好的にCLEを譲渡するといった姿は想像したがたい。NBAチームのオーナーという社会的ステータスなどを考えれば、相当なこと(たとえば金に困るといったこと)がない限り、CLEを他人に譲ることなどないかもしれない。

レブロンとしても、たとえば以前マジック・ジョンソンがレイカーズ(LAL)から少し株式をもらっていたような形では決して満足しない、自分が筆頭オーナーになり、チーム作りに自分の意思を反映できるような形でなければ満足しないだろう。

そういうことがわかっているギルバートに対して、正面から譲渡の交渉を持ちかけても、条件をふっかけられる(釣り上げられる)ばかりでうまくはいかない。そこで搦め手から攻める必要が生じてくる。

デトロイト出身(大学もミシガン・ステーツ卒業)のギルバートがどういう経緯でCLEを買うことになったかという経緯はよくわからない。ただ、ギルバートがいまでも地元でかなり活発に動いているというのはわりとよく見聞きする話で、たとえば人口の空洞化で(=財政破綻)した後二束三文になった市街地の土地や建物を買い漁り、再生に向けて大金をつぎ込んでいるといった話が報じられていたこともあったし(クイッケンローンズの本社をデトロイトに移したのもそうした動きのひとつか)、また結局不成功に終わったYahoo!の獲得競争の際にも、似たような話が入札参加の動機としてあげられていた(=デトロイトにテクノロジー/メディア産業の人材が集まるようにしたいという思惑)。そうしたことを思うと、ギルバートがクリーブランドのチームを所有しているというのはある種の「ねじれ」にも思えてくる。そして、このねじれを解消できる方法を見つけてあげれば、ギルバートはCLE譲渡の話に載ってくる、という可能性が思い浮かぶ。

トム・ゴア(ヘッジファンドで財をなしたというDETのオーナー)がDETをどう捉えているか(条件次第では手放してもいい投資対象とみているか否か、など)はよくわからない。また、そもそもこういう子供同士の「おもちゃの取り替えっこ」のようなことがいまのNBAで通るかどうか、というのもよくわからない(ずっと昔はそういうのがOKで、たとえばいまのクリッパーズ=LACなどは、そういうオーナー同士のチーム交換でサンディエゴに引っ越していたかと思う)。

なお、2005年にギルバートがCLEを買った際に支払った金額は3億7500万ドル($375mil.、ただし過半数で全部ではない)。そしてCLEの直近の推定評価額(今年1月のForbes)が約11億ドル($1.1bil.)。それから、元の筆頭オーナーだったガント兄弟がいまでも所有する15%の株式がざっと1億6500万ドル($165 mil.)といった話が下記の2つの記事には出ている(ゴードン・ガントらはこの15%を処分したがっているとか)。この約10年間のキャピタルゲインは(11億ドルー4億ドルで)ざっと7億ドル以上になる計算だが、ギルバートが「持ち出し」で注ぎ込んだ金額も相当になるはずで、差し引きすると正味のゲインは案外少ないかもしれない。

Dan Gilbert Gets First Shot To Buy Gund’s Stake In Cleveland Cavaliers – Forbes.com

Want to Be LeBron’s Boss? 15% of Cavaliers Said to Be for Sale – Bloomberg

上記のForbes記事には「CLEが2014-15シーズン(レブロン復帰1年目)に約2500万ドルの営業利益を記録していた」という一節もあるが、1億ドルを優に超えるも選手のサラリーとラグジュアリータックスを支払った後でもそれだけの利益が残ったのだろうか(だとすればすごい)。ちなみに昨季(レブロン復帰2年め)のCLEのペイロールは1億ドルから1億1000万ドルの間で、これに5400万ドルのタックスが加わってざっと1億6000万ドルとなっていたらしい。

リオ五輪、女子バスケ準々決勝 – 日本代表、米国相手に大善戦(たぶん)

昨夜の夜中からやっていたリオ五輪女子バスケの決勝トーナメント1回戦=準々決勝4試合がさっき終わった。結果は以下の通りで、日本対米国をのぞく3試合がいずれも大接戦。2番目のスペイン対トルコなどは本当にブザービーターで勝敗が決まったし、フランス対カナダにしても残り約30秒あたりまでほぼ1〜2ゴール差(その後ファウルゲームになって少し緊張が緩んだ)という展開、また第1試合も最後の最後でセルビアが豪をアップセットと、どれも面白い試合だった。

セルビア 73 – オーストラリア 71
スペイン 64 – トルコ 62
米国 110 – 日本 64
フランス 68 – カナダ 63

男子よりもはるかに強い(=他の国との力の差がある)とされる米国とあたった日本にしても、前半を10点差のビハインド(56対46)で折り返すという大健闘ぶりで、後半はさすがに大差をつけられてしまったが、一時的にせよ「負けない米国」を本気にさせたのは大したものと思われる。

A sign of respect between the USA and Japan – FIBA.com

U.S. drubs Japan 110-64 to reach women’s hoops semifinals – ESPN(AP)

日本は、米国以外のチームとあたっていれば準決勝まで進めたのではないかと思うと少し残念な気もするが、同時にダイアナ・トーラジ(Diana Taurasi)をはじめとする世界のトップクラスの選手を相手に戦うことができてよかったのではないかという気もしている。

なお、1996年のアトランタ以来、五輪で優勝をつづけている米国は、この対日本戦で47試合連続の勝利。また先月34歳になったトーラジはアテネ、北京、ロンドンに続いて、リオでも勝つと4つめの金メダル獲得になるという。代表HCコーチのジノ・アウリーマ(Geno Auriemma)とはNCAAトーナメントに3連覇したコネチカット大(U-Conn)時代からの付き合いというから、まさに鬼に金棒といったところか。

シアトル・プロアマでオールスター戦、お馴染みのNBA選手が勢ぞろい

このところずっと五輪に気をとられていて忘れていたが、シアトルで続いている夏のプロアマのほうも佳境に差し掛かったようで、先週末には地元出身のNBA選手も参加してのオールスター戦があったという。

Zach LaVine Drops Defender & 49 Points At Seattle Pro-Am All-Star Game – Ballislife

Jamal Crawford Hits Game Winner In Seattle Pro Am All-Star Game – Ballislife

今年はジャマール・クロフォード(LAC)の率いるチームとザック・ラヴィン(MIN)の率いるチームが対戦。ラヴィンが49得点をマーク、ジャマールは決勝3ptシュートを含む31得点、ジャマール・チームで出場したデジョンテ・マレー(SA)は22得点などなどで、試合のほうは152対150でジャマール・チームの勝利。またスペンサー・ホーズやネイト・ロビンソンといった常連も出場していたそうだ。

ジャマールとラヴィンの1on1というのは面白そう(ディフェンスなんかほぼやらないのかもしれない?)。

リオ五輪、決勝トーナメントの組合せ確定 – どれも見逃せない準々決勝4試合

リオ五輪の決勝トーナメントに進む8チームと、準々決勝4試合の対戦カードが決まった。

・オーストラリア(A組2位)対リトアニア(B組3位)
・スペイン(B組2位)対フランス(A組3位)
・米国(A組1位)対アルゼンチン(B組4位)
・クロアチア(B組1位)対セルビア(A組4位)

現地時間17日に昼前から夜にかけていっきに4試合で、これを1日で観られるというのは相当すごいことかもしれない。

負けはしないがちっとも強そうでないチームUSAの話は傍に置いておいて。

まずオーストラリア対リトアニアの対決は、インサイド(フロントコート)の戦い、なかでもアンドリュー・ボガット(現DAL)とヨナス・バランチュナス(TOR)というセンター同士の戦いが見どころか。

次の欧州チャンピオン同士の戦い(スペインは2015年のユーロ・バスケットで、フランスは2013年のユーロ・バスケットでそれぞれ優勝)は、それぞれのチームの黄金世代と称されたベテラン勢が見納めになるかもしれない国際試合。あるいは今季からスパーズ(SA)のチームメイトとなるポー・ガソールとトニー・パーカーの対決としても楽しめる(もちろん、かつての神童リッキー・ルビオや、ムッシュゥ・ボリス・ディアウもいる)。ちなみに去年のユーロバスケットでは両チームが準決勝であたり、80対75(OT)でスペインが勝利していた。

ここ3試合不甲斐なさばかりを指摘される米国の対戦相手は、やはり黄金世代が見納めとなりそうなアルゼンチン。選手個人の年齢も含めた力量でいえばやはり米国のほうが上だろうが、アルゼンチンには若いころから20年近くも一緒に戦ってきているマヌ・ジノビリ、ルイス・スコーラ、アンドレス・ノシオーニといったベテラン勢、それに対ブラジル戦で大活躍したファクンド・カンパッツォなどもいて、チームのケミストリーという点では米国よりも上かもしれない(五輪前のエキジビションゲームではアルゼンチンが大敗していたけれど)。あと、サッカーの試合同様に歌を歌いまくるアルゼンチンのサポーターもすごい。

(2004年アテネ五輪でアルゼンチンが米国を破った伝説?のゲーム)

クロアチアとセルビアとの旧ユーゴ対決も(スペイン対フランスと同様)隣国同士の戦いとあって、どちらのチームも「あそこだけには負けられない」となること必至か。注目はこの五輪で大ブレークした(認知度がいっきに上がった)感のあるニコラ・ヨキッチ(スロバキア、DEN)と、今季シクサーズ(PHL)でNBAデビューするダリオ・サリッチ(クロアチア)という二人の若手選手だろうか。

なお、グループBは決勝トーナメントに進んだ4チームがすべて3勝2敗(ポイント8)でならび、それぞれの対戦結果で順位が決まるという大混戦。はじめの2試合(対クロアチア、ブラジル戦)を落としたスペインがそのあと3連勝してようやく本領発揮となってきたかと思えば、対スペイン戦前まで3勝1敗でそのまま1位通過しそうにも思えていたアルゼンチンがこの試合で負け、さらにクロアチアがリトアニアに勝ったことでいきなり4位になったり、あるいは5戦目の前までグループ5位だったクロアチアがリトアニアに勝利して1位になったりと、実に目まぐるしい順位の変動ぶり。五輪のバスケットボールがこれほど面白いとは思ってもみなかった。

なお、米国はアルゼンチン戦のあと、準決勝でスペインまたはフランスのどちらかとあたり、さらに決勝では予選ラウンドで苦戦したオーストラリアやセルビアと再戦する可能性もある(個人的には豪との再戦を希望)。これまでよりきちんと対策を打ってくるのは間違い無いだろうが、相当気を引き締めてやらないといけないかもしれない。ここまで影の薄いケヴィン・デュラント(GSW)が、他のメンバーに遠慮せずに、オレ様ぶりを発揮して大活躍、というのを期待する。

リオ五輪、アルゼンチンとブラジルがダブルOTの大接戦

今朝方(昨夜の真夜中)にやっていたアルゼンチンとブラジルの試合が実に面白かった。地続きのせいかたくさんのサポーターが乗り込んで応援しているアルゼンチンと、ここで負けると決勝ラウンド進出がおぼつかなくなる地元ブラジル。そういう2チームの戦いということで期待して観たが、そんな期待をはるかに上回る試合展開だった。

活躍が目立った選手を先に記すと、アルゼンチンでは一時ブルズ(CHI)などでもプレイしていたベテランのアンドレス・ノシオーニが3ptシュート8本を含む37得点&11リバウンド、ファクンド・カンパッツォ(Facundo Campazzo)というPGが33得点&11リバウンド。4QからOTにかけてはカンパッツォの活躍ばかりが目立つような展開。また、ブラジルでは24得点&11リバウンドをマークしたネネやセカンドOTタイムで爆発したレアンドロ・バルボッサの動きが目立った。いっぽう、マヌ・ジノビリはほとんどシュートが決まらず、またルイス・スコーラもとくにディフェンスがからっきしで、ネネにいいようにシュートを決められていた。

試合の主導権を先に握ったのはアルゼンチン。ノシオーニががんがん3ptシュートを決め、Q1はアルゼンチンが28対19とリード。ところがQ2に入ると、今度はブラジルがいっきに盛り返して33対16とダブ
ルスコアをマークし前半を52対44で折り返す結果に。後半はずっと1〜2ゴール差でアルゼンチンがブラジルを追う時間が続き、ブラジルが突き放すかと思えばアルゼンチンが食い下がり、アルゼンチンが同点に追いつくかと思えばブラジルが差を開き、といったかなりイライラする展開で、けっきょくこの流れがアルゼンチンの最後のオフェンスまでつづいた。

85対82とリードされたアルゼンチンは、最後のプレイでマヌ・ジノビリに3ptシュートを打たせたがこれが入らず(この試合のジノビリは、ジャンプシュートが入る感じがしなかった)万事休すかと思われたが、カンパッツォがうまくリバウンドを取り、そしてカンパッツォからボールをもらったノシオーニが残り4秒で放った3ptシュートがうまくゴールに入ってついに同点。

OTに入ってもブラジルがリードし、アルゼンチンが追いかける展開が続いたが、残り36秒でカンパッツォにレイアップを決められてついに同点となり、そのまま2nd OTに。

OT2に入ると、Q4あたりからずっと勢いが止まらない感じだったカンパッツォが2本続けて3ptシュートを決めるなどで、一時はアルゼンチンのリードが8点差まで広がったが、ここでブラジルはそれまでほとんど活躍していなかったバルボッサが残り約3分から4本連続でゴール(うち1本は3pt)を決めて、残り1分17秒で1点差まで追い上げ、さらにバルボッサは残り13秒でフリースローを2本決めて109対107に。そのあと残り3秒でアルゼンチンのカルロス・デルフィーノがフリースローを2本とも外したときにはどうなることかと思ったが、ここでブラジルがファールしてジノビリにフリースローを2本決められて万事休すに。

アルゼンチンは3勝1敗(7ポイント)でリトアニアと並んでグループBのトップ。ただ11日のリトアニア戦では破れていた。この後は15日にスペインとのゲームがあり、その結果によって決勝ラウンドの対戦相手が決まることに。ブラジル(1勝3敗)は残りがやはり15日のナイジェリア戦で、それに勝ち、スペイン、クロアチア(いずれも2勝2敗)のどちらかが敗れると、まだ決勝ラウンドに進める可能性があるのか・・・そのあたりはきちんと調べてみないとよくわからない。

なお、明後日未明(現地時間14日)にある米国対フランス戦で、万一米国が敗れるとグループAは3チーム(米、豪、仏)が4勝1敗で並ぶ可能性もある。無論あくまで可能性に過ぎないが、米国がフランスよりも格下のセルビアや豪(FIBAランキングでは仏が5位、セルビアが6位、豪が11位)にあそこまで苦戦していたことや、仏もアルゼンチンや豪と同様、主力メンバーが長年一緒にプレイしてきていることなどを考えると、思わずアップセットを期待したくもなる。

レブロン・ジェームズ、キャブズ(CLE)と「3年/1億ドル」で契約更改

レブロンが初めて「NBAいちばんの高給取り」になるそうだ。

LeBron James to sign landmark deal with Cavs, agent says – ESPN

レブロンとキャブズ(CLE)との来季以降の契約に関する話がようやくまとまったらしい。条件は「3年/1億ドル」—年棒の内訳は1年目が3090万ドル、2年目が3330万ドル、3年目が3560万ドルで、3年目は例によってレブロン側のオプション。なお、2年めと3年めはマイケル・ジョーダンの3310万ドル(1998年)を抜いてNBA史上最高の年俸になるそうだ。

このニュースで目を引くのは、金額よりもむしろ契約年数のほうだろう。

レブロンが2年つづけてCLEと実質的に単年度契約(2年契約で、2年めがレブロン側のオプションという条件)を結んでいたのは周知の通り。簡単にいうと「金に糸目をつけずに選手補強してくれないと、また別のチームにいってしまうよ」とレブロンがダン・ギルバート(CLEのオーナー)に圧力をかける、その影響力行使の手段がこの単年度契約だったわけだが、選手にとっては短期の契約に伴うリスクが大きいのもまた明らかで、ここはひとまず少しだけ利益確定しておくのが得策という判断がレブロン側で働いたのかもしれない。

この契約期間に着目したSI.comのベン・ゴリヴァーは、「チーム・バナナボート」実現に向けてレブロンが布石を打ったという可能性に触れている。

LeBron James’s record deal eases Cavs’ stress and fuels ‘Super Team’ dreams – SI.com

レブロン、カーメロ・アンソニー、ドウェイン・ウェイド、クリス・ポールの4人が再来年夏にはそろってFAになるので、4人が一緒のチームでプレイするというのはやろうと思えばできないことではない。むろん今季のウォリアーズ(GSW)のように、プライムタイムの選手が4人揃うというのとはわけが違うので、簡単に優勝とはいかないだろうが、それでも興行面では大いに盛り上がる可能性は高そう。

そうなると、どこのチームが受け皿になるか(なれるか)というほうがより大きな問題になってきて、またいろいろと憶測が飛び交うことになるのだろうか。

ウルブズがついにクリスマス・ゲーム!NBA 2016-17シーズンのスケジュール確定

NBAの来季(今季?、2016-17シーズン)のスケジュールが固まったようで、さっそくESPNが自分のところ(と同系列のABC)で全国放送するテレビ中継の予定表を張り出している。

開幕日は10月25日で2試合—クリーブランドでのキャブズ(CLE)対ニックス(NYK)戦と、オークランドでのウォリアーズ(GSW)対スパーズ(SA)戦。

注目のクリスマス・ゲームは5試合で、いちばんの目玉はやはりクリーブランドでのCLE対GSW戦(昨季ファイナルのリマッチ)だろうが、個人的に嬉しいのはオクラホマシティーでのサンダー(OKC)対ウルブズ(MIN)戦。

Warriors-Cavs on Christmas lineup as NBA reveals 2016-17 schedule – ESPN

カール-アンソニー・タウンズ(KAT)が新人王を獲り、ザック・ラヴィンもダンクコンテストに2年続けて勝ち(=全国区の知名度になり)、さらに実績のあるトム・シボドーがHCになりということで、この期待の高さも当然といえば当然かもしれない。それでも、ケヴィン・ラブ(現CLE)のトレード話でゴタゴタしていた一昨年夏のことを思うと、よくもまあこの短期間にここまで・・・というある種の感慨も湧いてくる。

そういうMINの対戦相手がOKCだというのもまたいい。ラッセル・ウエストブルック(ラス)が今季に「スーパー・ラス」に変身してOKCをプレイオフまで連れていく、シーズン平均でトリプルダブルを記録しそれでシーズンMVPを獲る、というのは当方の勝手な希望であったりするが、そんなラスが相手ではMINの若手など木っ端微塵にされてしまうかもしれない。反対に、MINが昨季GSWをOTで破った4月のゲームのような試合をできれば、OKCも最後まで手を焼くことになるのかもしれない。

なお、SBNationが勝手に選んだ「今季の注目カード、トップ10」は次の通り。

#1. ウォリアーズ対サンダー:2月11日(オクラホマシティ)
– ケヴィン・デュラント(GSW)のオクラホマシティー初試合
#2. ウォリアーズ対キャブズ:12月25日(クリーブランド)
– ファイナルのリマッチ
#3. ブルズ対ヒート:11月10日(マイアミ)
– ドウェイン・ウェイド(CHI)のマイアミ初試合
#4. キャブズ対ラプターズ:10月28日(トロント)
– イーストの優勝候補同士の対決
#5. ウォリアーズ対クリッパーズ:12月7日(ロサンゼルス)
– 因縁の対決
#6. ラプターズ対セルティクス:12月9日(ボストン)
– イーストの2番手争い
#7. スパーズ対ウォリアーズ:10月25日(オークランド)
– ティム・ダンカン抜きのSAがどれくらい戦えるか
#8. ニックス対ブルズ:11月4日(シカゴ)
– デリック・ローズ、ジョアキム・ノア(NYK)のシカゴ初試合
#9. ウルブズ対ペリカンズ:11月23日(ニューオーリンズ)
– KATとアンソニー・デイヴィスの対決
#10. シクサーズ対レイカーズ:12月16日(ロサンゼルス)
– ベン・シモンズとブランドン・イングラムの初顔合わせ

NBA schedule 2016-17: The 10 best games of the season – SBNation

リオ五輪、オーストラリアが米国相手に大善戦 – 「オリンピック・メロ」も健在

今日は朝から、オーストラリア(豪)対米国の対戦をNHKのアプリ(*1)で見ていた。アンダードッグの豪に肩入れして見ていたので、実に面白い試合だった(米国を応援していた人には随分とフラストレーションのたまる内容・展開だったかと思う)。

豪が予選でここまでフランス、セルビアと格上の相手を連破していたこと、アンドリュー・ボガット(DAL)隊長が米国相手に「本気で勝ちに行く」云々と発言していたことなどは知っていたが、正直言えば「豪華客船で大名旅行を決め込むチームUSAに対して、平民チームの豪(*2)がどこまで張りあえるか」「NBAのロールプレイヤーをスタメンに揃えた豪が、スーパースター揃いの米国にどの程度食い下がれるのか」くらいの期待しか抱いていなかった。豪代表がこれほど強いとは思ってもみなかった。

結果的には98対88で米国が逃げ切った格好だが、豪が最後までよく食い下がり、4Q残り2分を切ってまだ4、5点のビハインドというあたりまでは「もしかしたら豪が勝てるかも」という期待を抱かせる内容だった。カーメロ・アンソニー(NYK)が何本か続けて3ptを決め、米国が安全圏(の得点差)に逃げ込むまでは、本当にどうなるかわからない、という雰囲気があった。ステファン・カリーの代役(?)で代表になったハリソン・バーンズ(DAL)の出番が一度もなかったのは、きっとコーチK(米代表HCのマイク・シャシェフスキー)にそこまで気配りする余裕がなかったことの表れではないか。そんなことを思わずにはいられない展開だった。

前半を豪が5点リードして折り返したのはスコアの通りだが、2Q後半あたりに見られた米国のものすごいプレッシャーディフェンスなどは、米国が本気になっていた(ならざるをえなかった)ことの証拠のひとつとも感じられた。

米国はとにかくシュートが決まらなかった(ESPNのスタッツを見ると、FG成功率が39.1%、3ptシュートの確率が43.6%とある)。「オリンピック・メロ」の異名に恥じないカーメロの頑張り(31得点、FGが21分の1、3ptシュートが15分の9)や、カイリー・アービング(CLE)の個人技(19得点、FG15分の7)がなければ、本当にどうなっていたかわからないという感じもする。

シュートが入らないという点では、とくケヴィン・デュラント(KD)の16分の4(14得点、34分出場)が目立ったが、クレイ・トンプソンも9分の2(6得点、23分出場)だったというから、深刻さではほぼ互角といったところか。また、デマーカス・カズンズ(ブーギー)とデアンドレ・ジョーダン(DJ)というセンターふたりがそれぞれファウルトラブルに陥っていたのも、特にディフェンス面で響いていたかもしれない。

米国とは対照的に、豪はシュートがよく決まっていた。最終的なチームスタッツでFG成功率50%(66分の33)となっているが、前半終了時にはなんと68%(28分の19)で、それだけ米国のディフェンスが機能していなかったということだろう。トム・シボドー(米AHC、MINのHC)が付いていてこのざまか?と思わずにはいられないような有り様で、例えばポッとゴール下が空いたところにパティー・ミルズ(SA)が駆け込んできて、ノーマークでパスをもらってそのままシュートといった場面が何度かあったかと思う。

豪はミルズがチーム全体の3分の1に当たる22のシュートを投じ、その半分を決めて30得点。これで外側からの脅威があとひとり居れば、それだけインサイドのボガットやアーロン・ベインズもプレイしやすくなって、もっと攻撃力もアップするのだろうが(ちょっと惜しいところ)。

以前のスペインやアルゼンチンと同様、豪もほぼ同じ中心メンバーで比較的長い間やってきているそうなので、そうした選手間の呼吸(ケミストリー)みたいなものも、試合の内容に影響しているのかもしれない。

その他、例えばカイリー・アービングに必死でついていくデリー(マシュー・デラヴェドバ)とか、ドレイモンド・グリーンとボガットのつばぜり合いとか、いろいろと見どころ満載な一戦だったと思う。

豪は今回の五輪でおそらくメダルを獲ることになろう。スペインの調子は今ひとつで、アルゼンチンも主力選手がだいぶ年を取ってきている。欧州の各チームがどの程度の力かはよくわからない部分もあるが(期待したクロアチアは、ベテラン揃いのアルゼンチンにはほとんど歯が立たなかったが)、米国相手にこれだけ戦えるなら、銀か胴のメダルを獲っても不思議はない。

ESPNのマーク・スタインは「決勝戦は米と豪の対戦になるかもしれない」と記している。

U.S. gets tougher test than expected vs. Australia – ESPN

なお、SI.comのアンドリュー・シャープはこの試合の前に公開していた記事の中で、「今回は代表に選ばれていないが、豪にはダンテ・イグザム(UTA)やベン・シモンズ(PHL)といった期待の若手もいる」「うまくいけばソン・メーカー(MIL)だって代表入りできるところまで成長するかもしれない」「『パスがうまいビッグマン」というボガットの役回りは、シモンズに受け継がれる」などと指摘している。4年後の東京五輪で「ベン・シモンズ率いる豪代表チーム」が見られるのかどうか・・・今後の展開に注目していきたい。

Bogut, The Boomers and the future: How Australia found a hoops culture – SI.com

*1)NHKのアプリ
CM休みも入らず、リアリーダーのダンスといった余興もなく、さらになんといっても余計な解説もなしという中継がこれほど素晴らしいとは。そういうことを痛感させられる中継が楽しめる。

*2)平民チームの豪
常識人(=まっとうな庶民感覚?)の持ち主とされるアンドリュー・ボガットが選手村入りして早々、自分の手でシャワーカーテンを縫い付けていたというのは既報の通り。保安上の懸念からチームUSAが高級ホテルを利用するのは今回に始まったことではなく(ちなみに今回宿舎がわりに使っている豪華客船は、通信機器メーカーのシスコがスポンサーとして費用を肩代わりしているとか)、また「公平・不公平」といった話を言い出したらきりがないが、そんなギャップを見聞きすると否が応でも米国以外の代表チームに肩入れしたくなる。


(このTwitterの画像はIOCへの当てつけで意図的に撮ったものかどうか・・・?)